調剤薬局の相場は1,500〜3,000万円。薬局経営をするなら、新規開業ではなくM&Aがおすすめな理由を徹底解説!

調剤薬局の歴史

「調剤薬局」とは、薬剤師が処方箋に基づいて調剤業務を行なったり、医薬品を販売したりする店舗のことです。

 

元々、日本では医師が病院で診察をし、そのまま薬も処方するというモデルを採用してきました。

変化が訪れたのは、明治時代。ドイツの医療が日本に輸入され、薬の“処方”と“調剤”を分離する、いわゆる「調剤分業」が導入されたのです。

これにより、現在の調剤薬局という場所が誕生しました。

 

調剤薬局で販売される医薬品は人体に影響を及ぼす可能性があるため、営業するに当たっては国から薬局開設許可を受ける必要があります。

また、調剤業務は薬剤師が行うという取り決めがあり、調剤薬局は薬剤師を常駐させていないといけません。

 

このように、薬局というのは比較的、参入障壁の高い業界だと言えます。

 

 

調剤薬局の採算をめぐる複雑な現状。結果的に、“個人の薬局買収”に有利な状況が生まれている

さて、そんな調剤薬局ですが、「薬局は儲かる」というイメージが一般的にあるのではないでしょうか?

実際、調剤薬局の若手経営者がフェラーリのお得意様だったなんて話を聞くことがあります。

 

調剤薬局の最盛期はひと昔前であり、病院、クリニックの周辺に店舗を構える“門前薬局”というビジネスモデルが好調だった時代です。

門前薬局を構えることさえ出来れば、顧客は目の前の病院から自動的に流れてくるのです。小売店であれば顧客を開拓するために様々な努力をする必要がありますが、門前薬局においてはその必要はありません。

大手チェーン薬局の中でも、この門前薬局は長らくドル箱の立場を確立してきました。

 

しかし近年、国の制度変更により大きな傾向として、大手のチェーン薬局は採算が厳しくなっているという現状が存在するのです。

 

背景は少し特殊であり、30店舗以上を経営する中堅から大手のチェーン薬局に関し、特定の医療機関からの処方箋が多い店舗における調剤基本料(薬局で処方箋に基づいて調剤することに対する報酬)が50%以上引き下げられたのです。

 

簡単にいうと、大手薬局でかつ完全に“門前薬局”化している薬局に関して、国からの報酬が激減したということです。これにより大手チェーン薬局の採算は著しく悪化しています。

この結果、大手チェーン薬局各社の中で、採算の悪くなった門前薬局を売りに出すという動きが加速しています。

 

一方で、個人がこのような門前薬局を経営している場合には、国による調剤基本料引き下げの対象にはなりません。

不思議な話ですが、大手チェーン薬局が売りに出している調剤薬局を個人が買収すれば、引き継いだ瞬間に黒字化させることができるのです。

 

実際に、大手薬局からの売り出し案件で、初年度から簡単に1,000万円以上の役員報酬が出せるような調剤薬局が、1,500万円から3,000万円で売りに出されている例があります。

これは数年で投資額が回収できるということであり、投資効率で言えば破格の価格帯でしょう。

 

このように、国策の変更、それによる採算状況の変化により個人の薬局買収は今追い風となっているのです。

 

 

薬局を個人経営するならM&Aで薬局を買収するべき、その他の理由

さて、門前薬局をめぐる現状について説明しましたが、それ以外の場合においても調剤薬局を経営するのであれば絶対に一から開業するのではなく買収によって事業を承継すべきです。

 

大きな理由の一つは採算見通しの立てやすさです。

M&Aをすれば直近の売り上げ動向から、ざっくりとした採算の想定が可能ですが、一から開業した場合には見通しを立てることはおよそ不可能です。

とくに薬局というのはコンビニや飲食店などと違い、「少し離れてても行きつけの場所がある」という人が多いものです。顧客のエンゲージメントが大切になってきます。

この場所に立てれば大丈夫だろう、というような安易な見通しでスタートすると大失敗するリスクがあるのです。

 

また、従業員の確保や、処方元との関係構築も問題になってきます。

調剤薬局というビジネスの特性上、知識/接客力を含めた従業員の能力は運営において極めて重要な問題になりますし、処方元と関係が築けないと顧客を確保できないことは言うまでもありません。

 

総じて、M&Aを利用することにより、低リスクかつスムーズに調剤薬局経営をスタートさせることができるのです。

 

 

以上

今回は、調剤薬局をめぐる現状や、なぜ薬局経営をするのであればM&Aが良いのかを説明しました。

調剤薬局を経営してみたいと言う方はぜひ参考にしてみてください。